二世帯住宅と耐震

長期的に住むことを前提とした二世帯住宅では、耐震性は重要なテーマです。注文住宅では多くの工法の中から、耐震性の高い工法を選ぶことができます。近年日本で起こっている巨大地震において、建築基準法における最低限の基準を満たすだけでは心もとないとする認識が広まっています。新築時は全ての住宅が、当時の建築基準法の基準を満たしていたにもかかわらず、多くの住宅に被害が出たことにより、建築基準法の木造基準に対する不信感が広まっています。これから新築を建てる場合は、建築基準法の基準を上回る耐震性を持った住宅の建築が必要です。

現在使われている耐震に関する基準の中で、信頼性が高まっている基準に住宅性能法表示制度による耐震等級があり、特に等級3の認定を取った建物には大きな地震被害が出ていないことが、学者らの地震被害調査によりわかってきています。住宅性能表示制度による耐震等級の基準は、建築基準法に比べて筋違い壁等の設置が多く、接合金物が多く設置されているのが特徴で、工法はどちらの基準も在来工法が主体となっています。筋違いを用いる在来工法は、筋違いに地震の力が集中しやすく危険であると指摘する学者や大工棟梁がいることも頭の片隅に入れ、とりあえずは住宅性能法表示制度による耐震等級3の住宅を建てることで、大地震からの建物の倒壊から逃れることができます。

1981年に施行された建築基準法の新耐震設計基準により、鉄筋コンクリート造と鉄骨造の建物で、構造計算がされているものに関しては安全性が確認されています。ただし、住宅で使われる軽量鉄骨造のプレハブ工法は、長期間使うことを前提とした二世帯住宅では安心できるものではありません。軽量鉄骨は厚みが薄い鉄骨で、長期間の間に腐食し、耐力が低下する恐れがあります。子々孫々、100年以上住み続けることを想定した場合、プレハブ工法では十分とは言えません。

2×4工法も同じことが言えます。日本の代表的なメーカーでは、実物大の建物の振動実験を行い、震度7の地震を60回加え、建物が耐えることを証明しました。しかし、それはあくまでもつくられてすぐの住宅です。2×4工法が50年以上経過すれば、合板を支えている釘や周囲の木材が腐食するのは明らかで、二世帯住宅には不向きと言えます。本格的な二世帯住宅に適した工法は、日本の伝統木工法です。奈良の東大寺大仏殿などで使われ始め、戦前まで日本で標準的に使われてきた工法です。太い柱と梁を用い、地固め、土台、通し貫、桁で建物を固める工法です。この工法で建てた家は100年以上の耐久性を持ち、大工棟梁により技術が引き継がれています。